P--1355 P--1356 P--1357 #1横川法語 横川法語 先三悪道をはなれて 人間に生るゝこと おほきなる よろこひなり 身はいやしくとも 畜生におとらん や 家はまつしくとも 餓鬼にまさるへし 心におもふこと かなはすとも 地獄の苦に くらふへからす  世のすみうきは いとふたよりなり このゆへに 人間に生れたることを よろこふへし 信心あさけれと も 本願ふかきゆへに たのめは かならす往生す 念仏ものうけれとも となふれは 定て来迎にあつか る 功徳莫大なるゆへに 本願にあふことを よろこふへし 又云 妄念はもとより 凡夫の地体なり 妄 念のほかに 別に心はなきなり 臨終の時まては 一向妄念の凡夫にて あるへきそと こゝろえて 念仏 すれは 来迎にあつかりて 蓮台に乗する時こそ 妄念をひるかへして さとりの心とはなれ 妄念のうち より まうしいたしたる念仏は にこりにしまぬ蓮の ことくにて 決定往生 うたかひあるへからす P--1358